減価償却についての備忘メモ 不動産投資の税金を最適化「減価償却」節税バイブル を読んで
21年7月に発売された「不動産投資の税金を最適化「減価償却」節税バイブル」を読んで、減価償却について知らなかったこと、勘違いしていたことが多々あったので、備忘として残しておく。
前提として、個人と法人の場合で異なる事項が多々あるため、今回は法人を前提としての話。
耐用年数は減価償却限度額を決めるだけ
例えば耐用年数20年の1億円の建物の場合、毎年の減価償却「限度」額は500万円で…
× 毎年500万円ずつ減価償却していかないといけない
○ 毎年0〜500万円の範囲で減価償却額を決めることができる
× ある年300万円の減価償却額とした場合、残りの200万円分は消滅する
○ ある年300万円の減価償却額とした場合、残りの200万円分は次年度以降の償却額として残る
× 耐用年数20年のうちに、すべての減価償却費を計上しなければならない
○ 耐用年数20年で算出されるのは毎年の減価償却限度額のみ、実際に何年で減価償却費を計上しきるかには関係ない
減価償却をどう活用するか
上述の通り、法人での取得であれば、減価償却費は毎年かなり柔軟に調整できる。税率の差に注目して、減価償却費を活用すると、節税が可能になる。
売却による課税を小さくするためには、できるだけ簿価を高く保つ必要があり、そのためにはできるだけ減価償却はしないほうが良い。
一方で、保有時期の課税を小さくするためには、課税所得が800万円を超えないように、減価償却費を計上していく必要がある。
保有時の課税所得と、売却時期や価格を見据えて、戦略的に減価償却費を計上していくことが求められる。
その他、経営セーフティ共済を活用した節税方法、資産計上できる項目など、勉強になる一冊でした。
IRRから考える、不動産投資の落とし穴
一棟建てるぞ!と意気込んだはいいものの、都内の土地奪取競争もかなり加熱しており、なかなか良い案件を前にすすめることができず……ということで、最近は土地から新築にこだわらず、いろいろと案件を見ている。
年始、23区内築数年アパートに買い付けを入れて、1番手にはなったものの、融資付けでバタつき(実力不足)、結局業者の現金買いに契約が流れてしまった。
表面利回りは6%くらいで、利回りだけみてたらこんなの検討対象外だろ、と考えるような案件だったが、今は妙味があるなぁと考えられる。考えの基になる、IRRについて、備忘録。
IRRとは
- 定義: NPV(Net Present Value: 将来価値(インカム+キャピタル)の割引現在価値)と初期投資額の差が0になる割引率
- ざっくりいうと: 金利
- 例: 100万円で買った金が5年後に200万円で売れたときのIRRは15%
IRRの便利な点
- 表面利回りなどの不動産投資独自の指標とは違い、他の投資手法と比較ができる
- 不動産投資の一番のメリットと言われるレバレッジを考慮できる(手出し費用を初期投資額とすれば良い)
- 入口、運用時、出口の重要性が理解できる(安く買って、うまく回して、高く売る。特に、出口でIRRが確定するので、出口の重要性。)
IRRからわかる不動産投資の落とし穴
IRRの理解が進むと、よくある不動産投資手法の落とし穴(巧妙に隠されていることがある点)がわかる。逆にいうと、これらの点をクリアできる案件であれば良い。
高利回り築古戸建て投資の落とし穴
- レバレッジが効かない
- 出口が不透明
まず、融資がつかずにレバレッジが効かない。手出しの費用が多くなるので、IRRは低くなりがち。IRRが高くても、規模が小さい(これはIRRだけでは見れない、IRRの落とし穴)
そして、出口が不透明。よく郊外の戸建てで土地値です!という案件が回ってくるが、誰がそこに土地を買いたいの?というのはよく考えたほうがいい。まわりに新築戸建がなければ、戸建て用地としての出口はない。土地で売れなければ建物(利回り)で出口を求めるわけだが、築40年で5年保有して築45年、まだ建物は使えるだろうか。
都心新築RC投資の落とし穴
- 表面利回りが当てにならない
- 土地で出口は取れない
基本的に、競争過多というのが背景にある。近所をぶらぶら散歩すると、コンクリート打ちっぱなし外観の5階建てRCをよく見るようになった(探してるんだけどね)。5階建てRCが7%で立ちそうな土地は、瞬く間に消えていく。高額新築大家塾は盛況らしい。
そうなったときに、机上計算の表面利回りがいつまで続くのか、よく考える必要がある。新築プレミアムは剥がれていくし、礼金は取れない、フリーレントつけるか、AD乗せるか。空室が出たので募集してたら、近くに似たような仕様の新築マンションができる。
築10年くらいでは残債もほとんど減っておらず、建物比率も高いので、土地で出口をとったら大赤字、もともと地形がきれいじゃないことが多いし、RCは解体費も高い。そうなったときに、このエリアの、投資家が建てたRC物件を、表面利回り何%で誰が買うのか、出口のイメージがつくかどうか。
インカム・キャピタルは思ったより出ない
運用中にいくらインカムゲインがあるか、売却時にいくらキャピタルゲインがでるか、でIRRは大きくかわるが、不動産投資は思ったより(軽く案件の表面を舐める程度で考えたときより)、インカム・キャピタルは、出ない。
売上が下がる要因
空室、家賃減、礼金なし、フリーレント
不整形地、面大減価、建付減価
費用が上がる要因
売買手数料
客付け、設備修繕、大規模修繕
立ち退き費用、解体費用
税金
このあたり、上海摩天楼君(@S_matenrou_HD14)さんのtwitterやnoteが非常に勉強になったので、ご紹介。
完璧な案件はないけど、何が完璧じゃないか理解することが大事
利回りが安定的に高くて、運用に手間もコストもかからず、土地値が高くて出口も安心、なんて案件は一般人が買う前にどこかへ流れてしまう。
そんな青い鳥を追っててもしょうがないので、手元の案件をひたすら精査し続ける、何が良くて、何がダメなのか。
行けると思ったら、買い付けを打つ(融資の目処は先につけとく)
買えなかった物件は何が良かったのか
地主が結構なお金で建てた、容積率未消化のアパート。
表面利回りは高くなかったが、新築プレミアムは乗っていない賃料帯で、しばらく下落を想定しないでも客付けが期待できた。
しっかりしたつくりの内階段のアパートで、ほぼ新築なので修繕・設備費用がしばらくかからなそう。
そして、容積率を使いきれておらず、将来的にはアパート用地としての売却や建て替えによる利回りアップが出口として見えていたというのが最大のポイント。
買えなかった、青い鳥……🐦️
引き続き、精進します(了)
2020年の振り返り【マンション・不動産投資】
仕事も納まって落ち着いたので、2020年の振り返りをしようと思う。
マンション関係
去年中古マンションを購入したばかりではあったが、子どもが成長すると手狭になることがわかっていたので、住み替えのために定期的に新築・中古問わずマンション探しは継続していた。
以前から気になっていたマンションを指名するような形でいくつか中古マンションも見に行ったが、今すぐ住み替えたいわけではなかったので、自ずと本気で検討するのは入居が先になる新築マンションとなった。
モデルルームに行ったのは、ブリリアタワー有明ミッドクロス、プラウドタワー亀戸クロス、パークタワー勝どき、の3物件。
ブリリアタワー有明ミッドクロスは、まず有明に住めるか、という点であまりしっくり来なかったのと、有明に住むとしてこの物件である必要があるか、という点がクリアできなかったのでパス。有明ガーデンができた今は前者はなんとかクリアできる気がするが、後者は引き続き厳しいという判断。有明に住むならガレリアグランデが好み(最近一段高くなってしまったのが残念)
プラウドタワー亀戸クロスは地縁があり、駅近で商業一体開発の利便性に惹かれて見学。立地という意味では隣の錦糸町に勝てる日が来るのか?という点くらいが気になってたくらいで全然OKだったのだが、あまり魅力的な間取りがなかったのと、モデルルームでの梁や天井・サッシ高が気になってしまい、NG。ゆかいふるはじめ、専有部設備はとても良かったですが。
パークタワー勝どきは発表された瞬間から、これだ!と思っていたのでコロナの影響でモデルルーム見学が延期になったときはとても悲しかったが、再開したら光速で予約。これからさらに再開発が進むエリアであること、三井が商業一体で開発する駅直結マンションであること、間取りなど3DもOK、ということで早々に契約を決意。手付金拘束と倍率がネックだったが、担当の営業の方に頑張っていただいて、無事契約。「早くから来ていただいていて、契約いただけることもわかっていたので、なんとしてもと思ってました」というコメントを頂いていて、人気の新築マンションを1期1次で買うにはお金以外にも熱意も必要、と知った。新築も中古も変わらんね。年明けからのオーナーズスタイリングの商談が楽しみ。マンションマニアさんばりの男気オプションかましたい。
改めて振り返ってみると、立地>建物>専有部設備、とよく教育されたマンションクラスタの価値観になってるなぁ。なお、パークタワー勝どきを検討するときに見ておきたい論点は2LDKさんのブログにとてもよくまとまっているので、検討している方は必読。
不動産投資関係
マンション好きだけど、実需じゃそんなにポンポン買う必要もないのでつまらないな、と思って、夏くらいから不動産投資の勉強も始めた。
とりあえず本を30冊くらい読み、そのあとは最新の情報をキャッチアップするのに、不動産投資クラスタをtwitterでフォローしたり、フォローした人のブログやYouTubeを見たり、実際に物件や土地を見に行ったりしている。
基本的には資産を使ってさらに資産を増やすゲームで、ある程度与信のある都内サラリーマンが取れる(最近人気の)選択肢は手元キャッシュ別で下記、と理解している。
- 〜500万円: 頑張って貯める、論外
- 500万円〜1,000万円: 共担にできる戸建て(最近は要厳選)を現金で買う、戸建てにキャッシュを生んでもらいながら融資を引いて中古アパートを買ってさらにキャッシュを生む、もっと貯める
- 1,000万円〜3,000万円: 土地から仕入れてアパート建てる
- 3,000万円〜: 土地から仕入れてマンション建てる
幸い、手元キャッシュはあるのと、単純にでかい建物たててみたいなぁと思っているので、最近は土地から新築RCマンションを建てるために特化して勉強中。
2021年には1棟は建て始めたいなぁと思っているが、良い土地は足が早く、 融資をのんびり引いてる暇がないので、ある程度利回りは我慢しての価格でグリップしてもらう、紹介・グリップなどできるチームで動く、土地はキャッシュで買っちゃう、など考えないといけない。どなたか良い手法をご存知でしたら教えて下さい。
まとめ
総じて良い1年だった。
twitterもはじめて1年半弱たったが、領域に特化した生の情報が取れる良い時代になったと感じます。フォローさせていただいている皆様に感謝。
2021年も良い1年になりますように。